ものすごく長い冬眠明け、目が覚めたとき帰ってくる場所になると言った友人はそこにはいなかった。
「何がずっと待ってるから安心して眠れだ」
記憶を頼りに見つけ出したその場所は荒れ果てた空き地になっていた。
いつも暖かかった家も、泥だらけになって世話にあけくれた畑も何もない。
ここに来ればあの時と変わらない笑顔で出迎えてくれると信じていた、いつでも帰れる場所があるんだと信じていた。
「待たせすぎたのか」
口に出しても答えてくれる者は誰もいないとわかっていても口に出さずにはいられなかった。
「今度は俺が待つ番なのかな・・・・」
今は何もないこの場所にもう一度家を建てよう。
今すぐには無理だけど、今度お前が帰ってきたときに目印になる様に、名前が変わった俺でも見つけてもらえる様に。
