きっと来るだろうと思っていたけど、何度見ても気分のいいもんじゃない巨大な影。
思い残す事無く戦う為に挨拶も早々に南ハーバスの城門を出ると、突然何もなかった前方の空間が歪み、小型の竜が手紙を抱えて飛び出してきた。
「わー氷雨久しぶりだな、元気そうで良かった」
以前は一緒の家に暮らしていた小竜の頭をなでてやり、抱えた手紙を受け取る。
懐かしいあいつからの待ちに待った便りだ。
やっと戻ってくる気になったのかと思い手紙を開くと、そこに記されていたのは期待とは間逆の「もうすぐ時が終わる。戻ることは無い」という別れの言葉・・・
「なあサダル、俺達等々完全な野良になったみたいだぞ」
相棒の雷獣の首元に顔を埋めて呟くと、もう少し言いようは無いのかとあきれたような声が返って来た。
人型に戻り、自身の右腕に目をやれば文様は色が薄くなっており、そう時を置かずに消えるであろう事が分かる。
「俺が鳥じゃなくなったら、みんなはどう思うかな・・・」
「我らが我らであることはどのような姿であっても変わらぬよ、それより帰りを急ぐのであろう」
そんなこと気にしてどうすると言わんばかりに、大きな尻尾で背中をバシバシと叩かれ、旅路をせかされる。
いやな事は重なると言うが、なにもこんなタイミングで手紙を寄こさなくてもいいだろうと心の中で愚痴り、最後になるかもしれないあいつへの手紙には、思いつく限りの文句を並べ立てて送り返してやると決め、エージュへ向かって歩き出した。
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友人から最悪のタイミングで届いた手紙を見て、勢いで書いちまいました。
まあなんで俺が鳥の姿なのかって所は、カテゴリ「俺」の設定の辺り見てもらえれば。